
日常的にフレグランスを使わなくなって数年。
年代的にもういい大人だし、TPOを弁えた清潔感と女性らしい香りをまといたいなと思っていた。
そんな私が使い始めたのが、クロエのアトリエデフルールシリーズのネロリ。
使い始めて、4ヵ月目。
毎日欠かさず使っていて、この香りをつけずに家を出ようとすると自分の物足りなさにはっとしてしまう。
すっかり私の日常に溶け込んだクロエアトリエデフルールのネロリのレビューです。
久々のフレグランス
20代の頃は、デパコスブランドのいろいろなフレグランスを試したみたものだった。
シャネルのチャンス、サンローランのベビードール、ディオールのジャドール、フェラガモのインカント限定などなど、きっと今のアラフォー世代には馴染み深いだろう香りを使っていた。
その中でも特に愛用していたのはディオールのフォーエバーアンドエバーで、何本使ったか分からないくらい愛用した。けれどそれも廃盤になり(今は復活しているのかな)、30歳前後あたりからすっかりフレグランスから遠ざかっていた。
20代半ばで完全に煙草をやめたこと、アロマがより好きになったこともあって、香水がとてもきつく感じられるようになったということもある。
けれど30代半ばあたりから、なんだか自分の体臭が気になるようになり、清潔感があって、天然のアロマのようで、それでいて香りが多少長持ちして、女性らしさを感じさせるようなフワっと優しく香るようなフレグランスはないかなぁ、とリサーチしていた。
私は生花の香りでいうとガーデニアとネロリが大好きで、その2種類の花の香りをメインとしたフレグランスを、ちょこちょこ探していたのだ。
香水の量り売りを利用して、ペンハリガンのガーデニアを購入し、とてもとても気に入ったけど、値段的に購入に踏み切ることができないまま廃盤になってしまった…。
そして3月、免税店に立ち寄ることになったので、ガーデニアとネロリのフレグランスをいくつかピックアップして、絶対に何か素敵な香りを見つけてみせる!と意欲満々でチャンギ空港の免税店をぐるぐるぐるぐるまわって、辿り着いたのがこのクロエのアトリエデフルールのネロリである。
ネロリの香り
このフレグランスは全くのノーマークアイテムだった。
エルメスにネロリの香りがあるようだったので、それを試してみたいと思っていたけど、シンガポールのチャンギ空港内の免税店ではどの店舗にも置いていなかった。
一般的なデパコスと同じようなラインナップのフレグランスコーナーの店員さんに、ガーデニアやネロリの香りを探していると話しても、なかなかピンとくる香りに出会えなかった。
23時間のトランジットで大量に時間があるので、ぐるぐる免税店回りをしていると、にぎやかな免税店とは少し雰囲気の違う、メゾン系(?)のフレグランスを取り扱っている免税店にたどり着いた(ターミナル3の3階の新羅免税店)。
店内の雰囲気は落ち着いていて、地元では絶対に見られないようなブランドの香水瓶がそれぞれのブランドのディスプレイでずらりと並んでいる。
私はとてもヨレヨレの格好だったけど、とても気さくで礼儀正しい店員さんが声を掛けてきて、好みを聞きながらいろいろな香りを試させてくれた。
そこで出会ったのが、クロエのアトリエデフルールシリーズだ。(この時、まだ日本では未発売。チャンギ空港の免税店で144SGDだった。)
このシリーズにはガーデニアはなく、欧米のガーデニアと私がイメージする梅雨時にうっとりと香る日本のクチナシには、香りのイメージに隔たりがあることに気付いたので、この時点で、ネロリとジャスミンが選択肢にあった。
クチナシとネロリに次いで、ジャスミンのむせるような香りがとても好きなのである。
とても親切な店員さんに悪いなと思いながらも、一度店を出る。
たくさんもらったムエットを嗅ぎ比べて、ネロリかジャスミンか買わないかで頭を悩ませる。
そして、ネロリを買うことに決めた。
3月は私の誕生月、ネロリの花が咲く季節なのだ。

3月末の誕生日の頃、初めてのモロッコ旅行で、滞在したゲストハウスの真ん中に大きなビターオレンジの木があって、そこからなんとも言えない幻想的な香りがした。
抜けるような日差しと鳥の鳴き声と、このなんとも言えない香りは私の脳内にこびりついた。
そして、その翌週に行ったスペインアンダルシア旅行でも、同じような香りが鼻をかすめる。

イースター真っ最中のセビリアでも、街路樹のネロリがそこかしこで幻想的な香りを漂わせていた。
モロッコやスペインの抜群に明るい陽射しと抜けるような青空とネロリの香り。
はつらつとした幸福感。
私には旅のワクワク感も相乗効果となって、ネロリの香りが刷り込まれた。
この幻想的な幸福感ある香りがネロリだと知るのは、日本へ本帰国してアロマショップでネロリの精油を嗅いだ時だった。
あの時のモロッコとスペインの香りだ!!!!!と衝撃を受けた。
そしてこのクロエのネロリの香りも、どうやら私と同じインスピレーションを受けて作られたもののようで、とても嬉しい気持である。

肝心の使い心地
香りは、ストレートにネロリ。
体温高めで汗っかきの私が使うと、時間の経過とともに少しメンズ寄りな香りになってくる。
ネロリのフレグランスを探しているときに気付いたけれど、男性用の香水でネロリがヒットすることが多かったので、優しい香りではあるけれど、女性らしさ全開の香りではないのだと思う。
私は自分自身の印象が女性性100%!というより、少しくだけて、芝生の上に平気で寝転がってしまいそうなおおざっぱさがあると思っているので、少しメンズよりな香りに転ぶくらいなら許容範囲である。
甘ったるくなるよりは、自分らしいと感じるくらい。
ただ、とても残念なのは、香り持ちが良くないのだ…。
オードパルファムなので、そこそこ香りは持つだろうと思っていたけれど、朝つけてお昼前には完全に飛んでしまう。
柔らかくていいので、もう少し香りが持ってくれればいいのになぁというのが本音。
それでもネロリの香りに包まれているのはとても幸せだし、個性があってとても気に入っている。
香り持ちに関しては、お昼に付け足せばいいのだけど、大人数が働くオフィスでつけたてのフレグランスを漂わせることにどうしても抵抗がある。
もう少し持ってくれれば、パーフェクトなのになぁ…なんて思いながら使い始めて3ヵ月くらい経ったころ、手持ちのジョーマローンのレッドローズと合わせて使ってみようとひらめいた!

これが大ヒット!!
香り持ちがぐっと良くなり、きちんとネロリが香りながらも、ラストノートが女性らしく華やかになった。
レッドローズは、単品使いでは香りが強すぎて私は酔ってしまい、気になって買ってはみたものの、使いこなせず手に余らせていたアイテムだった。
ボトルの1プッシュでは量が多すぎる気がするので、小さなアトマイザーに詰め替えて、少なめの1プッシュを、クロエのネロリの前につけている。
ジョーマローンのコンバイニングの考え方では、強い香りを先に付けるので、この組み合わせなら間違いなくレッドローズが先だと考える。
クロエ アトリエデフルールもレイヤリングを楽しむシリーズなので、ブランドこそ違えど悪くない組み合わせだろうと個人的に思っている。
クロエ アトリエデフルールのネロリは、ネロリのフレグランスを探している人には一度試してみてもらいたいなぁと思う。